小学5年生の社会科で米作りについて学ぶ。
たけとくんのテストを見ていると、「庄内平野の農家では安全なお米を作るためにどのような努力をしていますか」という問題があった。答えは「化学肥料や農薬をできるだけ減らしている」となる。
もちろん、農家がそういう努力をしているのは事実だ。したがって、この問題に対する答えはそれで良い。しかし、この努力が安全なお米に有効に関係しているのだろうか?化学肥料を使おうが、堆肥を使おうが、肥料としてイネに吸収される成分は同じである。むしろ堆肥の方が重金属を含んでいるかもしれない。化学肥料の多用は、お米の安全性よりも、一時に投入することで河川へ肥料成分が流れ出し、富栄養化による環境への影響が問題となる。もちろん有機肥料でも一時にたくさん投入すれば肥料成分が流れ出す可能性がある。要するに「安全なお米」と化学肥料とは関係が無い。「安全運転のためにサルファーフリーのガソリンを使う」と言っているようなものだ。
農薬もほとんど関係が無い。使用方法を守れば、残留農薬は人体に何の影響もないことが分かっているし、お米の場合は特に農薬を使う時期や方法がはっきりしているので間違えることは無いだろう。それに、これ以上減らすところが無いほど農薬の散布回数は減っている。種子消毒、田植え前の育苗箱への粒剤散布(いもち病・害虫防除用)、除草剤散布、いもち病・カメムシ防除のための粉剤または粒剤の散布1~2回。これだけだ。気象条件が良くて病気や害虫が少なければ後半の散布を1回は減らせる。これは努力で減らすものなのだろうか?もちろん、農薬メーカーの努力によってここまで減ったのは言うまでも無い。
小学生のうちから化学肥料や農薬が悪であるという思想を植えつけさせられているのだ。