「あなたのなかのサル」を図書館で借りて読んだ。
著者は霊長類学者のフランス・ドゥ・ヴァールさん。
類人猿の進化系統樹では、オランウータン、ゴリラ、ヒト、ボノボ、チンパンジーの順で枝分かれしたようだ。ということは、ヒトは類人猿の中でもっとも最近発生したわけではなくて、真ん中くらいということか。
この本では、チンパンジー、ボノボ、ヒトの比較を中心に、「人間らしさ」を考察している。チンパンジーは結構残虐なのに対し、ボノボはかなり平和的である。ヒトはその間くらいか。チンパンジーやボノボも、親切や思いやりといった「人間らしい」(?)行動がみられる。類人猿だけでなく、ゾウやイルカでもそういった行動がみられる。すなわち、人間にしかない性質は無い。
人間と他の動物を区別して考えること自体、意味がないといえるだろう。ヒトは動物の一種なのだから。
本書では類人猿との比較からヒトの性質を考察し、ヒトとして無理のない家族のあり方、政治や社会のシステムまで考察している。共産主義や極端な資本主義がうまくいかない考察もおもしろい。
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あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源
著者:フランス・ドゥ ヴァール |