あの無農薬栽培のりんごは無農薬とは言えない

NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で木村秋則さんのりんごの話を見た。

化学的に合成された農薬や肥料を一切使わないとのこと。始めてから8年間は収穫皆無だったらしい。そうだろう。りんごやももは無防除では収穫が皆無になる作物だ。特に斑点落葉病は葉が無惨に落ちてしまうのでダメージがでかい。害虫は天敵が住み着けば何とかなるかもしれない。だが、病気はなかなか防げないだろう。植物の栄養状態によって発病率や発生する病気が変わるので、育て方である程度はコントロール出来るかもしれないが、難しいだろう。木村さんはよく観察しているのだと思う。

「目が農薬であり、肥料」

植物の状態、病害虫の状態、天敵の状況などをよく観察しているから、うまくコントロール出来るのだろう。これは農薬や肥料を使う栽培方法でも見習うべきことだろう。農薬を使ってもタイミングが悪ければ効かないのだから。よく観察してタイミング良く防除することが重要。

で、木村さんの場合、病気の防除に「酢」を使っている。糖蜜も混ぜているようだが、どういう資材なのだろうか?ところで「食酢」は農薬である。特定農薬として指定されている。すなわち、木村さんも農薬を散布しているのだ。化学合成ではないが。農薬を使おうとする根源的な姿といえる。

化学合成かそうでないかって分ける意味があるのだろうか?毒性学的には意味がないと思う。酢も殺菌作用が働いているのだから、生理作用があるわけで、生物に何らかの影響があるということ。

結局、栽培品種は病害虫に弱いわけで、野山に生えているドングリなどとはレベルが違い、人間がある程度管理してやらなければ実は採れない。その分、実が大きいし、おいしいのだ。

不思議なのは、肥料をやらないで収穫できるということ。毎年果実を持ち出す(収穫する)のだから、その分は畑から出て行くわけだ。特にリン酸やカリウム。窒素は微生物が固定できるかもしれない。不思議だなと思ったが、畑に酢(糖蜜入りの?)をかなり供給しているから、それが肥料になっているのかな?

番組ではあまり技術的なことの説明がなかったのが残念。精神論でなく、そこが知りたい。

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