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死刑制度

 凶悪な犯罪は起きないようにしたいというのは、共通の願いです。死刑制度はそのために作られたものです。

 しかし、死刑そのものは殺人です。殺人を否定しながら、国家には殺人が許されるというのは矛盾していると思います。

 国民のほとんどは死刑制度の廃止には反対しています。その理由としては、1.死刑制度をなくすと凶悪犯罪が増える、2.被害者や遺族の心情を考えれば死刑は当然、3.殺人という罪の償いとしては死が妥当、4.危険分子は消すべき、というものだろうと思います。

 一つずつ検証していきます。1は確かではありません。アメリカでは死刑のある州とない州がありますが、犯罪数に差はないようです。死刑制度があると目撃者も殺すということも考えられます。殺人を犯そうという瞬間に死刑制度が抑止力になるかは疑問です。

 2でよく言われるのは、「もしあなたの家族が殺されたら、犯人を殺したいと思うでしょう?」ということです。私もそう聞かれたら「もちろん殺してやりたい」と答えるでしょう。しかし、殺したいと思うことと殺しても良いということは違うことです。殺したいから殺すというのは殺人を肯定しているということです。犯人を殺しても殺された被害者は戻ってきません。

 3ですが、罪の償いとして死というのは簡単すぎ(軽すぎ)ませんか?犯人が本当に改心してこそ償いになるのではないでしょうか?犯人が遺族に頭を下げ、「おまえなんか死んでしまえ」と言われながらも何回も頭を下げる。犯人にとってはこんな苦しみは死以上のものだと思います。犯人が凶悪な心のまま死んでいくより、改心する方が、被害者の死は報われるはずです。

 4はこの考え自体に身震いがします。

 以上まとめると、全ての殺人は否定されるべきであること、死刑制度廃止の反対に正当性がないことから、死刑制度は廃止すべきと考えます。

 ただし、死刑に変わる刑を設けるべきでしょう。死刑の下は無期懲役ですが、無期懲役では何年か服役すると釈放されてしまいます。釈放されない無限懲役を設けるべきでしょう。